<講師からのメッセージ>
「週末は何をして遊んだ?」「今日は何をして遊ぶ?」大学生までは、ごく日常的に行われる会話でしょう。
ところが、社会人になると、「休暇は何をする予定?」といった表現に変わり、「遊ぶ」というワードを用いることに違和感を覚えます。
これまで「遊び」に関する心理学的な研究は、主に子どもを中心とした発達心理学や児童心理学の領域で発展してきました。
今回は、これまでの「遊び」の心理学を簡単に紹介した上で、現在、私が考えてる新たな「遊び」研究の視点、『大人にとっての「遊び」の心理』について、「余暇」「生きがい」「動機づけ(やる気スイッチ?)」をキーワードにお話してみたいと思います。
2014年度第1回ラーニング コモンズ・イベント「遊びの心理―遊びは「やる気スイッチ」をonにする?」は、終了しました。
.:*★イベントレポート★*:.
大妻女子大学図書館千代田校本館の「ラーニングコモンズ」室で、人間関係学部人間関係学科の八城薫准教授が4月26日、「遊びの心理―遊びは『やる気スイッチ』をonにする?」をタイトルに「大人にとっての遊び」について社会心理学の観点から講演を行ってくださいました。
本年度第1回ラーニングコモンズ・イベント(LCE)となるものです。
まず「遊び」という言葉について先生は「児童にとっての遊びは成長・発達する上で重要なものとされているのに対し、大人が『遊び』という言葉を使う場合、“遊び半分” “遊び心” “遊び人”などネガティブな意味に用いられることがあります」と説き起こしました。
続けて、『遊び』は『余暇活動』という言葉で置き換えることができ、a)日常からの心身の解放(疲労回復)、b)気持ちのゆとり(安心感)、c)心のなぐさみ(心の癒し)、d)楽しいという感覚(興奮)、e)未知の体験(刺激)を得る効用があり、児童だけでなく大人にとっても必要なものであることを心理学の実験や余暇活動調査の結果を提示しながら説明されました。
そして「『余暇(遊び)』は、『快適、快楽』をもたらす行為であり、本能的・本質的に動機づけられている、ヒトになくてはならないものである」とし、「『余暇(遊び)』には自己成長、達成感、自己効力感など、自尊感情を高揚させるものもあり、これがやる気スイッチonのエネルギーとなるのです」とまとめると、最後に「やる気スイッチは一人ひとり違い、スイッチをonにするのはその人自身です。自分だけのこだわりの『余暇(遊び)』を見つけてください」と呼びかけて講演は終了しました。