<講師からのメッセージ>
本年は、宮沢賢治生誕120年です。賢治評価は、没後次第に高まって、生誕100年の際には社会現象ともいうべき盛り上がりを見せました。本年も、夏の賢治生誕祭(こんなイベントがあるのかな?)に向けて、さまざまな雑誌で特集が組まれるなど、盛り上がりの予感があります。
ところで、賢治といえば、生前は無名だったとか、一月に3000枚もの原稿を書いたとか、一生他人のために尽くした聖人のような人だったとか、さまざまな神話・伝説があります。《無名の天才童話作家宮沢賢治》、魅惑的です。しかし、その実像はどうだったのでしょうか。いくつかの神話・伝説について、その成り立ちや実際を検討してみましょう。
2016年度第4回ラーニングコモンズ・イベント 「賢治神話・賢治伝説を考える。」は、終了しました。ご参加ありがとうございました。
.:*★イベントレポート★*:.

平成28年度第4回ラーニングコモンズ・イベント(LCE)「賢治神話・賢治伝説を考える。」が文学部日本文学科・杉浦静教授を講師として7月6日、千代田キャンパスの図書館で開かれました。今回は文学部日本文学科・短期大学部国文科との初共催で、『春と修羅』初版本など貴重な資料が展示されました。
杉浦先生は宮沢賢治研究の第一人者で、今年リニューアルした宮沢賢治記念館(岩手県花巻市)の展示監修をされたり、以前宮沢賢治学会イーハトーブセンターの代表理事を務められたりしています。
講演では、「賢治は1896(明治29)年8月27日に生まれたと考えられているが、なぜか戸籍や賢治自筆の履歴書には8月1日生と記されている」、「賢治の初恋は1914(大正3)年に鼻炎手術のため入院した時だが、その恋を歌った短歌には謎がある」、「一月に3000枚もの原稿を書いた」など賢治にまつわる伝説が紹介されました。
講演終了後は、参加者同士で岩手日報に掲載された先生のインタビュー記事を読み合ったり、展示資料を一緒に見入ったりと交流を深める場となりました。
アンケートに記された参加者の感想をご紹介します。
▽賢治の一般的に知られているイメージとは違った一面を知ることができて面白かったです▽90分間でしたが、「早い!」と感じるくらいでした▽初恋伝説で「やはり一人の人間なんだ」と思い、一月に3000枚伝説で「やはり天才だな」と思った▽杉浦先生らしく、少しクスッと笑えるお話、楽しかったです