<講師からのメッセージ>
虫のことは嫌いでも、自然を嫌いな人はあまりいないでしょう。都市では自然といえば、みどりを思いおこすことが多いと思います。みどりは、癒しや二酸化炭素の吸収・固定など私たちに多くの利点をもたらしてくれますが、一方で放置しておくと危険物になることもあります。今回の講座では都市のみどりを見る方法を、楽しみながら、樹木診断実習を取り入れ行います。
2015年度第6回ラーニングコモンズ・イベント 「都市のみどりの見方 ―樹木医に学ぶ―」は、終了しました。
たくさんのご参加ありがとうございました。
.:*★イベントレポート★*:.
本年度第6回ラーニングコモンズ・イベント(LCE)「都市のみどりの見方 ―樹木医に学ぶ―」が家政学部ライフデザイン学科 甲野毅准教授を講師に10月31日、千代田キャンパスの図書館で開かれました。
樹木医と森林インストラクターの資格を持つ甲野先生は、これまで都立海の森公園など都市公園の設計や自然環境教育に取り組んでこられました。現在は立川市の根川緑道においてさくらの保全活動を実践されています。
イベントの前半は、東京都の緑地が減少している一方で千代田区の緑被率(土地が植物の緑に覆われている部分の比率)が微増していること、ほぼ同時期に植栽された街路樹が数十年経た現在では一斉に生育状態が劣化していることなど、都市のみどりの現状が紹介されました。
後半は、図書館の近くの公園で実際に桜の樹勢診断を体験。枝のバランスや幹肌の様子などを目で見て樹木の健康状態を診断したり、木槌で幹を打診した音を聞いて内部の腐朽や空洞の具合を確認したりしました。また土壌貫入計を使って土壌の硬度を測定すると桜が生育するには硬い状態であることが確認されました。
診断実習の後、先生は「都市では景観保持や落ち葉清掃の負担軽減が目的で、枝の不適切な剪定が行われることがある。これは樹木へ日照・物理的な負荷をかけるし、傷口からの腐朽菌進入の原因となりうる。落ち葉は堆肥になるだけでなく土壌をやわらかくするが、そうしたことがなく落ち葉が処分されてしまうと土壌は硬くなる。景観などへの影響を考慮しつつ、落ち葉を許容することが都市のみどりを守ることに繋がるのだとこの機会に意識してくれれば」と述べ、イベントを締めくくりました。
アンケートに記された参加者の感想をご紹介します。
〔学生〕
▽実際に外に出て樹木を見たことで、話を聞くだけより分かりやすくて良かったです。
▽小さな頃からの樹木に対する疑問を解決できましたし、新たな発見がありとても良い時間を過ごすことができました。
▽今までと違う視点で樹木を見ることができた。
〔教職員〕
▽幹を叩いた時の音の違いに驚きました。これから街歩きをする際に樹木を見る目が変わると思います。
〔千代田区民〕
▽とても興味深い体験ができた。