<講師からのメッセージ>
「陰陽師」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
悪霊に立ち向かうヒーロー? 呪いを打ち破る正義の味方?
たしかにそういう面もあります。ですが、実際の陰陽師は、もっと地味に働いています。
様々な書物や先例を調べながら、儀式を行なうのに良い日を選定したり、高貴な人のお出掛けに最適な日を選んだり、あるいは天体観測をして空に異常がないかを確認したり等々、割と忙しい実務官人であるといえましょう。
色々な記録類を読みながら、陰陽師たちの仕事ぶりを一緒に想像してみましょう。
2015年度第4回ラーニングコモンズ・イベント 「陰陽師の仕事」は、終了しました。
たくさんのご参加ありがとうございました。
.:*★イベントレポート★*:.
7月18日(土)、千代田校図書館で
深澤瞳 本学非常勤講師による講演「陰陽師の仕事」が本年度第4回ラーニングコモンズ・イベント(LCE)として開催されました。
並外れた能力を持ち邪悪なものを退治するヒーローとして小説や映画で超人的に描かれる陰陽師(おんようじ)ですが、講演では、平安時代に実在した陰陽師たちがどのような仕事をしていたのかを『御堂関白記』(藤原道長が暦に書き込んだ日記)など当時の資料から深澤先生と一緒に読み解いていきました。
先生は、律令『養老令』(757年施行)に定められた陰陽寮の職務は、(1)占い・土地の吉凶を判じること (2)暦の製作 (3)天文現象を観測し異変が観られた時は帝へ奏上 (4)時刻の測定だと説明。まじないをして物の怪などをはらい病気の治療をすることは、もとは医療をつかさどる典薬寮の「呪禁師(じゅごんし)」が任命されていたのに、平安時代になると陰陽師たちが代わって行うようになったのは、人々が彼らにそのような役割を求めたからではないかと述べました。そして『御堂関白記』に使用された暦の作成者である陰陽師には、官職に対してつりあいがとれないほど高い位階が与えられており、このことは陰陽師が当時の社会に重視されていた証になると述べ、講演を締めくくりました。
質疑応答の時間では参加者たちから相次いで質問が出され、テーマへの関心の高さがうかがわれました。
アンケートに記された参加者の感想をご紹介します。
〔学生〕 一つの質問にも、とてもていねいに教えてくださいまして、きいていて分かりやすかったです。
〔卒業生〕 フィクション・ファンタジーっぽいイメージが強かったが、実際の様子が見えた感じがして楽しかったです。
〔保護者〕 基礎知識がまったく無い分野の話でおもしろかったです。日本に中国の思想が入ってきて、変化していく過程が新鮮な視点で見直すことができました。
〔教職員〕 お話がとても聞きやすく、みんながリラックスしたふんいきでよい会だなあと思いました。
▽平安時代の文献を実際に使用して、実際の陰陽師の仕事をとても分かりやすく説明していただきました!
〔学外の方〕 イメージと実際の陰陽師の仕事が全く違うという発見があった。