サイトマップ

第1回 「『ナルニア国物語』を読む――オクスフォードの英文学者ルイスはなぜファンタジーを書いたのか」

2015年度第1回ポスターサムネイル

 
■ 日  時 : 4月18日(土)午後1時~2時30分(開場12時30分)
■ 場  所 : 千代田校本館4階ラーニング コモンズ内
■ タイトル : 「『ナルニア国物語』を読む
 ――オクスフォードの英文学者ルイスはなぜファンタジーを書いたのか」
■ 講  師 : 比較文化学部比較文化学科 安藤聡 教授
■ 対  象 : 本学学生・卒業生・保護者・教職員、千代田区在住の方
■ 参加方法 : 入場無料
本学学生・教職員・卒業生は当日直接ラーニング コモンズに
おいでください。
千代田区在住の方は、事前に電話で参加登録をお願いいたします。
電話 03-5275-6013(千代田校本館 日曜休館)


 


<講師からのメッセージ>

『ナルニア国物語』の作者C・S・ルイスの本職は童話作家ではなく中世・ルネサンス文学を専攻するオクスフォード大学の研究員でした。
オクスフォードでは数学・論理学の研究員ルイス・キャロルが『アリス』を、言語学・文献学の教授J・R・R・トルキーンが『ホビット』『指輪物語』を書いたという「前例」もあります。ルイスはなぜ『ナルニア』という名作ファンタジーを書き、そこにどのようなメッセージを込めたのでしょうか。
作品や先行研究を拾い読みしながら考えたいと思います。


2015年度第1回ラーニングコモンズ・イベント 「『ナルニア国物語』を読む――オクスフォードの英文学者ルイスはなぜファンタジーを書いたのか」は、終了しました。ご参加ありがとうございました。
 
.:*★イベントレポート★*:.

    

4月18日(土)、「『ナルニア国物語』を読む――オクスフォードの英文学者ルイスはなぜファンタジーを書いたのか」と題して、2015年度第1回ラーニング コモンズ・イベント(LCE)が図書館千代田校本館で開催されました。



講師は、英語・英文学・英国文化を専攻し、『ナルニア国物語 解読―C・S・ルイスが創造した世界』『ファンタジーと歴史的危機―英国児童文学の黄金時代』『英国庭園を読む―庭をめぐる文学と文化史』(以上彩流社)、を著した安藤聡教授(比較文化学部比較文化学科)です。先生は、オクスフォード大学の研究員だったC・S・ルイスが著作『ナルニア国物語』に込めたメッセージに関して紹介されました。
まず先生は、ルイスが『ナルニア国物語』を書いた20世紀中頃は伝統的な価値観の軽視や想像力の喪失・キリスト教の衰退が起きた時代と説明し、(1)同時代の文化・文明・学校教育に対する批判、(2)中世・ルネサンス期に近い理想的な世界の提示、の二つがルイスの「言わずにいられないこと」であり、その表現のためにこの物語が書かれたと指摘されました。
次に、ルイスが「ありふれたものと非現実的なものがコントラストをなして共存していること」を好んだ例として『ライオンと魔女』で雪の森の中に立つ街灯や傘と包みを抱えたフォーン(牧神)が挙げられると先生は述べました。また、「街」と「丘」の対照が一望できる北アイルランド・ベルファーストの風景も物語に影響を与えているそうです。
最後に先生は、「白い魔女がなぜ悪とされるのか」についてイギリスの気候を解説され、冬の状態に留めてナルニアの世界を支配しようとする魔女の「傲慢」が罪なのですと話して講演を締めくくりました。

講演の冒頭、「優れた作品は様々な客観的解釈ができる多くの余地を持つ」という先生の言葉がありましたが、物語が作られた背景を知ることによって、参加者の方々は新たな解釈のヒントを得られたのではないでしょうか。